移動通信ワークショップでの研究報告
東京工業大学で3月1日(水)から3日(金)に開催された移動通信ワークショップで,専攻科生の中村君が以下の報告を行いました.この報告では,fractional delay two-ray fading model(FD2波モデル)の提案も行い,符号間干渉を評価する2波モデルにおいて遅延波がサンプリング周期の整数倍ではない時刻に到達する場合には,2波モデルの等価的な離散時間インパルス応答が見かけ上の非因果成分を含む場合があることをシミュレーションにより示しました.このことは,近距離での見通し(LOS: line of sight)伝搬路の離散チャネルインパルス応答に見かけ上の非因果成分が含まれる例の1つになっています.
- 中村陽斗, 山田洋士, 亀田 卓, “相対遅延差に着目した任意粒度の非整数サンプル遅延の実現," 電子情報通信学会 技術研究報告 スマート無線, vol. 122, no. 400, SR2022-88, pp. 24-31, Mar. 2023.
なお,離散インパルス応答に非因果成分が含まれることと,送信局と受信局間の電波伝搬路のインパルス応答(アナログ領域)に非因果成分が含まれることは,同義ではありません.物理的現象から考えて,電波伝搬路のアナログ領域でのインパルス応答に非因果成分は含まれません.そうした場合でも,離散インパルス応答に見かけ上の非因果成分が含まれる場合があることを上記の報告は示しています.
上記の研究会予稿におきまして,いくつか誤りがありました.正誤表は下記です.